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L.J.Muhamad*; 伊藤 均; 渡辺 宏; 田村 直幸
Agricultural and Biological Chemistry, 50(2), p.347 - 355, 1986/00
代表的な香辛料15試料について主要汚染菌分布と殺菌効果についてしらべた。黒コショウ、白コショウ、ターメリック、ローズマリー、バジル中の総細菌数は1g当り310~510個検出された。総細菌数を構成する主要菌は Bacillus subtilis と B.pumilus であった。大腸菌群は8試料に210~210個検出された。糸状菌も10試料に110~210個検出され、Aspergillus glaucus,A.restrictus,A.flavus,A.fumigatus,A.niger の各群と Penicillium で構成されていた。香辛料の汚染菌は1.2~1.5Mradのガンマ線照射で検出限界以下に殺菌され、1Mrad以下の線量で日本の衛生基準である1g当り10個以下に殺菌することができた。香辛料をポリエチレン袋に入れ、30又は35C、湿度84%以上で貯蔵すると糸状菌の発生が認められ、黒コショウなどは1ヶ月で糸状菌数が10個以上に達した。しかし、0.4Mrad照射すると粉末状試料では糸状菌の発生を2ヶ月以上抑制できた。
伊藤 均; 渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 47(12), p.2707 - 2711, 1983/00
活性汚泥脱水ケーキ1gの総菌数は210個検出され、その多くはPseudomonas psendomalleiで占められていた。また大腸菌群は810個検出され50%以上がE.coliで占められていた。汚泥にガンマー線を照射すると一般細菌は0.5Mradまでは急激に減少したが、それ以上の線量では菌数減少はゆるやかとなり10Mradまで照射しても1g当り10個生残していた。一方、大腸菌群は0.5Mrad以下で殺菌された。高線量照射後の汚泥に主に生残している金はpoly--hydroxybutylate蓄積能を有するPseudomonas類であり、非照射から2Mradまでの線量では0.5から0.7MradでBacillusが主要残存菌となることを除いてはP.preudomalleiが主要フローラを構成していた。また2から5MradではP.cepaciaP.saccharaphiliaが主要残存菌であり、5Mrad以上ではP.flavaが主に生残していた。しかし、これらのPsendomonasは燐酸緩衝液中では放射線抵抗性は著しく弱くD値も0.005から0.021Mradにすぎなかった。
伊藤 均; 飯塚 廣*
Agricultural and Biological Chemistry, 47(3), p.603 - 605, 1983/00
ウインナーソーセージ、リテーナ成形かまぼこ、揚かまぼこ、家食肉から変敗菌として分離されたグラム陰性、オキシダーゼ陽性の球桿菌は20C前後での生育が良好で37Cでは生育ができない低温性細菌であり、10%以上の食塩濃度でも耐性を示すのが特徴で、Moraxella osloensisやAcinetobacter calcoaceticusとは明らかに性質の異なる別菌種である。菌株間の形質転換能は低温性球桿菌の全株に認められ、独立の菌属としての分類学的位置づけを明らかにするべきである。多くの分離株は放射線抵抗性が強く、D値は44~66kradの間に分布していたが、揚かまぼこから分離したS12株など3株は抵抗性が弱くD値は25~29kradにすぎなかった。またS12の栄養変異株に他の放射線抵抗性株のDNAを形質転換しても放射線抵抗性の増大は認められなかった。
伊藤 均; 渡辺 宏; 武久 正昭; 飯塚 廣*
Agricultural and Biological Chemistry, 47(6), p.1239 - 1247, 1983/00
1Mrad以上照射した下水汚泥および飼料から6株の放射線抵抗性球菌が分離された。これらの分離株はnutrient agarで生育でき、一部の菌株はglutamate agarでも生育した。各分離株は単球菌または2連球で、4連球菌となるものもあった。細胞は0.8~1.0mで、ペプチッドグリカンは全株がオルニチン型である。細胞の主要脂肪酸組成はCである。DNAのGC含量は59~66mol%であり、これらの性質は「Micrococcus radiodurans」と同じグループに属することを示している。最近BrooksとMurrayはこのグループを新属のDeinococcusと提唱しており、本研究の分離株TD1,TD3,TD9,Fr3,Fr7はD.proteolyticusと同定された。しかしT843株は脂肪酸組成がCとCであり、GC含量も59%と小さく、白色コロニーを形成する点から新たにD.takasakiensisと命名した。各菌株は放射線抵抗性でD値は0.10~0.25Mradあり、Deinococcusの全株で酸素効果がほとんど認められない点は他の細菌類と異なった特徴である。
久米 民和; R.Chosdu*; 伊藤 均; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 47(4), p.723 - 727, 1983/00
魚粉に対する照射効果ならびに貯蔵効果について検討した。魚粉中の好浸透圧性糸状菌や大腸菌群は0.5Mradの照射で殺菌できた。粗タンパク含量、ペプシン消化率、アミノ酸組成には5Mradまで照射しても変化は認められなかった。酸価、過酸化物価は照射によりわずかに増加したが、過酸化物価の増加は脱酸素状態で照射することにより抑制できた。魚粉の水分含量を15.5%と高くして30Cで貯蔵した場合、非照射試料で著しい好浸透圧性糸状菌数の増大が認められた。0.5Mrad照射試料では1ヶ月間糸状菌の発生を抑制でき、1.0Mrad照射試料では2ヶ月の貯蔵期間中糸状菌は検出されなかった。粗タンパク含量およびペプシン消化率には貯蔵期間中変化は認められなかったが、酸価は照射、非照射試料ともに貯蔵中に増加傾向を示した。非照射試料中の水分含量や過酸化物価は貯蔵中の糸状菌数の増大とともに増加し、粗脂肪含量は急激に減少した。一方、照射試料ではこれらの貯蔵中の変化を抑制できた。
久米 民和; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 47(2), p.359 - 363, 1983/00
照射により生成したラジカルアニオンによるグルコースイソメラーゼの失活について検討した。精製酵素を水溶液(pH7.0)中で照射した場合、Brは著しい増感効果を示し、(CNS)は保護効果を示した。また、Brは高pH溶液での酸素の失活を増感しなかった。これらの結果および各アミノ酸との反応性から、グルコースイソメラーゼの活性にはヒスチジン残茎が関与していることが推定された。Streptomyces菌体内グルコースイソメラーゼの失活もまたBrにより著しく増大された。一方、KCNS,tert-BuOH,Oはin vitroの照射では保護効果を示すのに対し、in vivoでは失活を増大した。これらの物質はグルコースイソメラーゼの活性部位に直接作用はしないと考えられるので、細胞内の保護物質の破壊といった間接効果によって失活が増大されたものと考えられた。
久米 民和; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 47(3), p.627 - 628, 1983/00
グルコースイソメラーゼ含有Streptomyces菌体の凝集性に対する照射効果を検討した。菌体のキトサンによる凝集性は室温での照射により減少したが、凍結状態(-196C)で照射した場合には変化しなかった。Streptomyces菌体表面は負の電荷を有しているが、室温照射により電荷は減少し、5Mradで最初の値の60%にまで減少した。一方、凍結状態で照射した場合には、表面電荷に変化は認められなかった。Streptomyces菌体はキトサンを用いなくてもpHを4.5以下に下げることにより凝集し、この凝集は可逆的であった。凍結状態で高線量照射した場合、時時菌体凝集が認められ、この場合はpHは4近くにまで減少していた。以上の結果から、照射は菌体表面の負の電荷を減少させ、この表面電荷の減少が菌体凝集の減少をひきおこすと結論された。また凍結状態で照射した場合には、これらの変化は完全に保護されていることが明らかとなった。
久米 民和; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 47(4), p.889 - 890, 1983/00
アルギン酸ソーダおよびカラギーナンを照射した場合の粘度、表面電荷および凝集剤としての効果における変化について検討した。アルギン酸ソーダおよびカラギーナン粉末に完全殺菌線量である50Mradまでの照射を行うと、著しい粘度低下が認められ、とくにカラギーナンの粘度低下が著しかった。表面電荷は照射に対して安定であり、50Mradの高線量照射しても10数%の表面電荷が低下したにすぎなかった。一方、10Mradおよび50Mrad照射したアルギン酸ソーダおよびカラギーナンでは、清酒のオリ下げ促進効果が認められた。これらの結果から、放射線殺菌法は増粘剤やゲル化剤としての多糖類に用いることはできないが、吸着剤や凝集剤には適用できると考えられた。さらに、高線量照射による凝集剤としての改質が可能であった。
久米 民和; 伊藤 均; 飯塚 廣*; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 47(5), p.1065 - 1069, 1983/00
飼料から分離されたA.versicolorの分生子の生存曲線は緩衝液中でも乾燥状態でもシグモイド型であった。D値とInduction doseは、緩衝液中で37および17~18krad、乾燥状態では50~51および25~48kradであった。これらの結果から、A.versicolorの殺菌線量は0.7Mrad以下で十分であることが明らかとなった。他の好浸透圧性糸状菌の放射線感受性もA.versicolorとほぼ同様であった。分離されたA.versicolor3株のうち2株に発ガン性物質であるステリグマトシステンの産生能が認められた。精白米培地上に生産されたステリグマトシスチンの量は、M13株で410g、c132で、280g、MYA-0056で730gであった。しかし、M26株には生産性が認められなかった。ステリグマトシスチンは乾燥状態では放射線に対して安定であり分解を達成するためには52Mradの高線量が必要であった。したがって、ステリグマトシスチンが生産される前に殺菌することが必要である。
久米 民和; R.Chosdu*; 伊藤 均; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 47(9), p.1973 - 1977, 1983/00
飼料中の毒性物質の一つとして考えられているヒスタミンに対する照射効果について検討した。飼料用魚粉11種およびフィッシュソリュブル3種中のヒスタミン含量は0.1~55mg/100gであり、とくに近海産試料のヒスタミン含量が高かった。魚粉中のヒスタミン含量は5Mradまで照射しても変化は認められなかったが、フィッシュソリュブルでは減少傾向を示し、5Mradで約16%減少した。ヒスチジン溶液からのヒスタミン生成のG値は0.077であり、照射によるヒスタミン分解のG値は1.90であった。ヒスタミン生成には主にHやlagの還元性種が関与しており、OHラジカルは主として分解に寄与していた。酸素はヒスチジン溶液からのヒスタミン生成を阻害したが、ヒスタミンの分解にはほとんど影響を及ぼさなかった。以上の結果、ヒスタミンの生成に比べて分解が著しく、照射によってヒスタミンが蓄積するといった問題が起ることはないと結論された。
久米 民和; 渡辺 宏; 青木 章平*; 佐藤 友太郎*
Agricultural and Biological Chemistry, 45(6), p.1311 - 1315, 1981/00
treptomyces phaeochromogenus菌体より抽出・精製したグルコースイソメラーゼに対する線照射の影響を検討した。稀薄溶液中(pH 7.0)で照射した場合酵素活性は指数関数的に減少し、失活収率(Go)は空気中では0.069、窒素中では0.115であった。 また、ラジカル補捉剤であるNOガスおよびt-BuOHを用いて、酵素失活に対する水の放射線分解生成ラジカルの寄与の割合を検討した。・OH、Hおよびlのグルコースイソメラーゼに対する失活効率は各々0.032,0.025,0.005であった。このように本酵素の失活には主として・OHとHが関与しており、lの寄与はわずかであった。しかし、無酸素状態の中性水溶液では・OHの収率が高いため、全体としては・OHが主に失活に関与していた。
久米 民和; 渡辺 宏; 武久 正昭; 佐藤 友太郎*
Agricultural and Biological Chemistry, 45(6), p.1351 - 1355, 1981/00
グルコースイソメラーゼを種々の条件下で照射した場合の放射線感受性について検討した。菌体内グルコースイソメラーゼは指数関数的に失活し、酸素存在下での著しい増感効果が認められた。遊離の酵素を照射した場合には、細胞内の場合に比較してより高い放射線感受性とより小さい酸素効果が認められた。酸素増感率(OER)は菌体内で3.7、粗酵素液で2.0、遊離の酵素で1.3であり、酵素の精製度とともに減少した。精製酵素では逆に酸素による保護効果が認められた。 遊離の酵素液にグルタチオンを添加して照射すると、失活は著しく保護され、N中での失活曲線は菌体内での失活曲線にほぼ一致した。O中でのグルタチオンによる保護効果は高線量域で消失したが、これはグルタチオンがO中での照射により分解し易いためと考えられた。
渡辺 宏; 佐藤 友太郎*
Agricultural and Biological Chemistry, 45(5), p.1209 - 1214, 1981/00
A.lunatusの生産する粗酵素は種々の微生物に対して広い溶菌活性を示す。我々は特に放射線抵抗性細菌を溶解する酵素を得るため、粗酵素の分離と精製を行なった。粗酵素はCM-SephadexとSephadex G-75によって13活性画分に分離された。これらの画分の内、5画分は溶菌スペクトルが似ているが、他の画分は各々異なる溶菌スペクトルを示した。粗酵素が広い溶菌スペクトルを示すのは、このように多くの酵素を含んでいるためであると考えられる。ディスクゲル電気泳動の結果から、P2-2画分を除く他の画分は少なくとも2種類以上の蛋白を含んでいた。P2-2画分(P2-2酵素と命名)はM.radioduransに対して最も高い活性を示し、粗酵素から34倍精製された。本酵素は界面活性剤を使わなくとも放射線抵抗性菌を溶解できるが、カゼインのような蛋白を分解する能力はない。
渡辺 宏; 佐藤 友太郎*
Agricultural and Biological Chemistry, 45(5), p.1215 - 1221, 1981/00
放射線抵抗性細菌を溶解する精製P2-2酵素の性質とその溶解作用について検討した。酵素反応の至適温度は60Cであり、至適pHは8.5であった。本酵素は中性緩衝液中では40Cまで安定であるが、80C15分の加熱で失活した。 2価金属イオンとPCMBやIAAは酵素活性を阻害した。Sephadex G-75から求めた分子量は16000である。M.radioduransやM.lysodeikticusの細胞壁から調製したペプチドグリカンはP2-2酵素によって溶解し、Freeのアミノ基を遊離するが、還元基やN-アセチルアミノ糖は遊離しなかった。従って本酵素はendopeptidaseであると考えられる。さらに、酵素を作用させたペプチドグリカンのN末端アミノ酸の分析結果から、P2-2酵素はペプチドグリカン中のD-アラニンのカルボキシル基側ペプチド結合を切断すると考えられる。
渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 45(10), p.2323 - 2327, 1981/00
M.radioduransの細胞は照射によって溶解酵素(P2-2酵素)の作用を受けやすくなった。この照射による溶解促進作用は液体N中で照射した場合には観察されなかったから,放射線の間接作用によって起ると考えられる。またt-ブタノールを添加することにより、促進作用は全く抑制されるから、この間接作用はほとんどOHラジカルの作用によって起る。細胞をNやO中で照射した時は、非照射細胞と同様にほとんどリゾチウムの作用を受けないが、NO中で照射された細胞だけはリゾチウムで溶解されるようになった。一方、n-ブタノールで抽出することにより脂質を除いた細胞はリゾチウムでも溶解するようになるが、この細胞を照射しても、酵素溶解は促進されなかった。従って照射による酵素溶解の促進現象は、細胞壁中の脂質成分の変化に起因すると考えられる。
伊藤 均; 飯塚 廣*
Agricultural and Biological Chemistry, 44(6), p.1315 - 1320, 1980/00
赤いコロニーを形成する放射線抵抗性のグラム陰性細菌は主に照射米より分離されてきており、著者らは1971年にPseudomonas属の新種として報告した。今回は米以外の照射かまぼこ,飼料,照射下水汚泥からの分離株も含めて、Bergey's Manual of Determinative Bacteriology第8版に従って分類学的に性質を再検討した。各分離株と赤色のカロチノイド色素を蓄積し、細胞内にポリヒドロキシ酪酸顆粒を蓄積する。標準株0-1のDNA中のGC含量は65%である。各分離株ともglucose好気的に分解し醗酵能はなかった。各分離株の放射線抵抗性およびカタラーゼ活性は菌株によって大きく異なっており、カタラーゼ活性そのものは放射線抵抗性に直接関係していないことがわかった。しかし、照射中の酸素効果の菌株による変動はカタラーゼ活性の強さと相関関係にあった。このことは好気的条件下では菌体内カタラーゼが保護的に作用することを示しているように思われる。
久米 民和; 小林 信夫*; 奥 秋明*; 青木 章平
Agricultural and Biological Chemistry, 43(8), p.1625 - 1632, 1979/00
低粘度化を目的として線照射処理した澱粉に対する加熱溶解時のpHの効果について検討した。アミログラムおよびB型粘度計による冷却粘度測定の結果から、照射澱粉は糊化時のpHが高い程粘度低下が著しくなり、非照射試料との粘度差が大きいことが認められた。市販の酸化澱粉(味の素エスサンサイザー600)と同程度の低粘度澱粉を得るための必要線量は、pHを調整しない場合約7Mradであるのに対し、pH7.0では約5Mrad、pH11.0では約3Mradとなり、pHを高くすることにより必要線量を小さくすることが可能であった。一方、照射澱粉の溶解度はアルカリ側で顕著に増大した。また、溶解残渣について走査型電子顕微鏡で観察を行った結果、照射試料ではpHを高くすると粒表層部からの成分溶出が著しくなり、粒構造が崩壊しやすくなっていることが認められた。
伊藤 均
Agricultural and Biological Chemistry, 41(1), p.35 - 41, 1977/01
鋸屑と米糠を主成分とする鋸屑培養基を放射線殺菌してキノコ類を人工栽培する研究を行なっていた際に放射線抵抗性の強いMicrococcusが培養基中に増殖してきた。各試料から分離された赤色コロニーを形成する3株の代表株のうち、H54、H55の2株はグラム陽性の二連または4連の球菌であり分類学的性質はAndersonらの分離したMicrococcus radiodurans R株とほぼ一致していた。そこで、この2株をM.Radioduransと同定した。一方、H48株はグラム陽性の二連球菌で細胞が他の株より著しく小さく、硝酸塩の還元能、栄養要求性など他の株と異なっていた。そこで、本菌をM.Radioduransの変種として同定し、M.Radiodurans var.Riboflavus nov.var.と命名した。これら3株のGC含量は65~67%であり、細胞壁のアミノ酸組成はオルニチン型を示していた。各分離株の放射線に対する抵抗性もR株と似ていたが、生存曲線の形は菌株により異なっていた。各株の燐酸緩衝液中でのD0値は190~300kradだった。
伊藤 均; 佐藤 友太郎*; 飯塚 廣*
Agricultural and Biological Chemistry, 40(5), p.867 - 873, 1976/05
保存料無添加のウィンナーソーセージに線を300~500krad照射した場合発生してくるネト原因菌はグラム陰性の二連の球桿菌であった。本菌は運動性のない好気性細菌でオキシダーゼ陽性,糖の酸化的分解能はほとんど認められない。これらの性質から判定すると当然Moraxellaに属することになるが、生育適温が15~20Cの低温性細菌であり、7.5%以上のNaCl温度でも育成能があるのが本菌の特徴である。Bergey's Manual of Determinative Bacteriology,第8版では本菌をMaraxella like Taxaの一つとして分類しているが、本報では仮にMaraxellaとAcinetobacterの中間型細菌としておいた。本菌のGC含量は約44%であり、この点はMaraxellaやAcinetobacterと共通している。本菌の放射線に対する抵抗性はウィンナーソーセージの変敗菌であるMicrococcusなどにくらべ著しく強く、そのD値は燐酸緩衝液中で44~54kradでAcinetobacter calcoaceticusの約4倍の値を示していた。
渡辺 宏; 久米 民和; 岡沢 精茂*; 佐藤 友太郎*
Agricultural and Biological Chemistry, 40(2), p.427 - 429, 1976/02
放射線抵抗性細菌ではM.Radioduransのようにグラム陽性菌であっても一般にlysozymeによる溶菌化が困難であり、P.Radioraなどは全く作用を受けない。これらの抵抗性菌の細胞壁と抵抗性を観察することにより、抵抗性細菌をより低線量で殺菌するための感受性変換因子を検索することを目的として、各種放射線抵抗性菌のAc.Lunatus生産酵素に対する感受性をしらべた。一般の溶解酵素では溶菌されにくい放射性抵抗性菌が、本酵素に対してはどれも作用を受けて溶菌した。これは抵抗性細菌の外殻構造の共通性を示唆しているものと思われる。グラム陰性菌のP.Radioraは本酵素でも溶菌されにくく、界面活性剤との併用によって幾分溶菌された。これはP.Radioraが堅い殻につつまれており、酵素作用を受けにくいことを示している。